ヒロモリ家について

1 ヒロモリ家は、Blanc-Coメンバーの共通の知り合いである、「人形のヒロモリ」の社長さまが所有されている木造住宅で、長らく倉庫などとして使用されており、半ば空家となっていました。

 昭和前期に建てられたと思われる、和風の住宅で、道路に面して格子があり、玄関を入ると、裏庭までの通り庭(土間)があり、白子の伝統的な町家の作りになっています。
 オーナーである広森さんには、解体して駐車場にする考えなどもあったようですが、解体費もかかるため、方向性を決めかねているという状態でした。
 そこで、改修して貸家にする、解体して駐車場にするなど、いくつかのシミュレーションを行いました。そして私たちBlanc-Co無償で借り受けてDIYリノベーションを行い、3年後に返却することで、リスクも出費もなく3年後に賃貸物件に出来るため、より有利な活用が出来るという提案をさせていただきました。
 また、その間に、DIYリノベーションの作業をワークショップとして募集、ボランティアさんにお手伝いいただいたり、イベント会場、ギャラリーなどとすることで、町の活性化にも役立てるということをお約束し、快く承諾いただきました。

 はじめは置いてあるものの運びだし、処分などを行いました。その後、床の貼り替え、壁の塗替えなどを、ワークショップの募集で来ていただいたみなさんと一緒に、DIYで行ってきました。
 そんな中、ある時ワークショップに参加した、木村淳史くんがBlanc-Coの仲間になりました。木村くんは白子の伝統工芸伊勢型紙の職人とwebの仕事をするハイブリッド職人でした。木村くんによると伊勢型紙職人は仕事が少なくなったこともあり、しかも高齢化が進んでいて、このままだと10年を待たずにいなくなってしまうということでした。

 1階の床と壁が仕上がった2年目の秋、その木村淳史くんが、なんと自分でヒロモリ家を借りる決断をしました。存続があやぶまれる伊勢型紙の職人を育成する道場を作ることにしたのです。実は伊勢型紙の職人を希望する人は、全くいないわけではないのですが、弟子入りさせてくれる職人さんがいないのでした。自分がいつまで仕事が続けられるかわからないし、仕事が少ないから責任を持って次の世代にバトンを渡すことが出来ないというのが理由のようでした。そこで木村くんは新しい伊勢型紙職人の育成方法を思いつきます。それが泊まり込みで集中的に技術を学ぶ工房「テラコヤ伊勢型紙」の設立です。

 1日だけ体験できるコースから、デザインから考案して、手ぬぐいを染めるところまで体験できるコース、長期滞在で本格的に技術を学ぶコースなど、さまざまなスタイルで伊勢型紙に触れることが出来、伊勢型紙職人候補者への間口を広める一方、テキスタイルデザイナーなどデザインが出来る人にデザインを提供していただいて、新たなデザインやプロダクトが生まれる可能性もあります。

 そんな経緯で、ヒロモリ家はテラコヤ伊勢型紙に生まれ変わることになりました。

<ヒロモリ家の場所>
ヒロモリ家地図
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
住所:鈴鹿市白子一丁目10-6
 

<ヒロモリ家リノベーションの経過>
撮影日 2014年10月4日~2016年10月7日